1.序論:フランチャイズビジネスとその現実
フランチャイズビジネスは、既存の成功したビジネスモデルを元に、新たな店舗を展開する方法として広く認知されています。本部の有する商標や販売・経営ノウハウなどを加盟店に与えるかわりに、ロイヤリティを対価として、加盟店が本部に支払うシステムです。
事業経験がなくても比較的容易に開業できるメリットがある反面、独自性が出しにくいといったデメリットもあります。「フランチャイズでは儲からない」という意見も少なくありません。
なぜそうなるのでしょうか。ある調査によれば、フランチャイズオーナーの約半数が開業初年度で黒字化することができず、その後も稼ぐまでに時間を要しています。フランチャイズビジネスは既存の成功モデルを利用することでリスクを減らす一方、立地や経営管理、市場環境の変化など、成功への道のりは決して容易ではありません。
また、運営の自由度が低いことが、フランチャイズの一番のデメリットと言って良いでしょう。フランチャイズではチェーン全体のイメージや統一感が優先されるため、ノウハウの提供やブランドの使用権を得られる代わりに、フランチャイズ本部が定めるルールや方針に沿って事業を運営することが求められます。本部によって許容される範囲は異なるものの、一般的に個々の加盟店の裁量は制限され、自由にアイデアを活かすことはできません。
フランチャイズは、成功事例を元に経営ノウハウを作成しているため、失敗率が少ないのが特徴です。一般社団法人フランチャイズチェーン協会の調査によると、フランチャイズで開業して5年後の成功率は、70%程度と言われています。そのため、失敗率は30%程度と考えるとよいでしょう。
30%が多いか少ないか、人によって考え方は異なりますが、個人で開業する場合は5年後の成功率が25%程度と言われているため、フランチャイズの成功率は高いと考えてよいでしょう。
しかしながら、フランチャイズビジネスの2年後の廃業率は、14.4%という研究結果が出ています。
個人事業の場合は7.8%なので、この数字は個人事業で起業した場合と比べ、倍近い数字です。
フランチャイズの成功確率が70%とはいえ、消して無視できる数字ではありません。
この記事では、「フランチャイズで儲からない」原因とその解決策について解説し、成功店舗の事例を通じた学びを提供します。
2.「フランチャイズで儲からない」原因
フランチャイズで儲からない原因は、以下の4点に大別されます。
(1)ロケーション選びの失敗
立地がビジネス成功の鍵を握ります。選んだ場所がお客様の足を運びやすいかどうかが重要です。例えば、下北沢や渋谷のように若者が多い土地で高齢者向けの生活支援や健康増進ビジネスなどは受けませんし、逆にお年寄りの多い場所でクレープやタピオカミルクティーを販売しても勝算はあまりありません。
自分が予想していた客層を取り込むことができず、廃業してしまうオーナーさんは実にたくさんいます。
顧客層の選択ミスを防ぐためには、とにもかくにも開業前のリサーチが重要です。
自分でリサーチするだけでなく、周辺の事情に詳しい人にアドバイスを仰ぐのも大切です。
(2)資金不足
フランチャイズの加盟店募集の案内には、必要な初期費用額の見積もりは掲載されているものの、運転資金の見積もりは掲載されていません。
店舗を出す地域や周囲の競合の状況などによって変わるため、一概に金額を算出することができないからです。
そのことを意識せずにフランチャイズ事業をスタートさせると、しばらくして資金不足に悩むものの、資金調達をうまく行えずに苦しい想いをするということになりかねません。運営費用とのバランスが取れていなければ、長期的に安定経営は難しいでしょう。
フランチャイズを開業するには、開業資金を準備する必要があります。
コンビニを例に挙げると以下の通りです。
開業資金で必要になる費用 | 必要資金目安 |
加盟金 | 100万~300万円程度 |
保証金 | 100万~1,000万円程度 |
研修費 | 30万~100万円程度 |
土地・物件取得費 | 300万~1,000万円程度 |
改装費 | 1,000万円前後 |
採用人件費 | 採用人数による |
その他 | 300万程度 |
店舗を持たない業種や人を雇わない規模で開業する場合は、もう少し資金は抑えられるものの、最低でも300万円程度の開業費用は見込んだ方が良いでしょう。
(3)能力が不足していた
能力が不足していたことによる失敗事例も多々あります。
経営は、教科書通りにはできません。必ず上手くいかないことが出てきます。
以下は、フランチャイズに必要と言われる能力・勉強項目の一部です。
1.問題発見能力
2.仮説構築能力
3.事前準備能力
4.プロモーション能力
5.コントロール能力
6.経営について
7.税金について
これらはフランチャイズ本部が行う研修を受けたり経験を積んだりして伸ばすことが可能な能力です。
フランチャイズは本部のサポートを受けて経営を行える点がメリットとは言っても、オーナー自身に何の能力も知識もなければ、先はありません。
フランチャイズ経営に必要な能力が不足していると感じた場合、経営に必要な事業への理解や税金についての勉強も常に行いましょう。
(4)本部に頼りすぎた
本部に頼り過ぎたことによる失敗も少なくありません。
フランチャイズの場合、オーナーとフランチャイズ本部はビジネスパートナーです。フランチャイズ本部は、長年かけて構築したノウハウやマニュアルをオーナーに提供してくれます。
しかし、フランチャイズ本部が提供してくれるノウハウは、必ずしも成功を約束するものではありません。
本部に頼りすぎるのではなく、オーナーである自分自身の経営努力も大切です。実際に経営するのはオーナー自身であり、工夫や努力が必要な点は通常の起業と変わりません。
フランチャイザーとのコミュニケーションが上手くいかないと、店舗経営に影響が出ることもあります。
これらの要因を理解し、適切な対策を講じることが成功の一歩となります。
3.成功するフランチャイズ店舗の特徴
成功するフランチャイズ店舗には以下の3つの特徴があります。
(1)情報収集・見積もりを怠らない
まずは、情報収集・見積もりを怠らないことです。
情報化社会と言われる現代では、最新情報をキャッチし、いかにビジネスに落とし込めるかが大事です。
経営者は、掴んだ情報がどのようにビジネスに活かせるか、常に見積もりを行いましょう。
自身のビジネスを発展させることを目的にすれば、情報の取捨選択もできるようになるはずです。
フランチャイズだからと与えられたノウハウに頼り切りになってしまうと、成功は難しいかもしれません。
(2)緻密に計画を練る
次に、緻密に計画を練ることです。
まず、フランチャイズビジネスを行う上での目標設定を行いましょう。
目標の達成期間は、3年でも5年でも構いません。
大きな目標を決めて、次はそれより短い期間での目標を設定しましょう
まずは、3〜5年後の未来の目標を立ててそこに向けての細かい目標を立てるのがおすすめです。目標を達成するためには、まず1週間ですること、次に1ヶ月でやるべきこと、などです。しっかりと目標を立てることで迷った時の目印にもなりますし、意欲にも繋がります。
設定した達成期間内に目標を達成するためには、緻密に計画を練る必要があります。
日々緻密に計画を練り、試行錯誤しながら目標を達成できれば、失敗する確率は下がるでしょう。
(3)業界・業種の選定を見誤らない
最後に、業界・業種の選定を見誤らないということです。
自分の好きな業界・業種で起業したいという方も多いですが、必ずしもオーナー自身が好きな業界・業種でビジネスが成功するとは限りません。
思い入れがある分、冷静な判断ができない可能性もあります。
特に脱サラをして初めての起業を考えている未経験者の場合、成功しやすい業界・業種を選定すると良いでしょう。特にコンビニエンスストア、ハウスクリーニング、介護・ケアサービスが初心者の方にもおすすめのフランチャイズです。
どの分野で起業するか、自身の性質なども踏まえて、良く考えることが大切です。
これらが揃った店舗が、フランチャイズビジネスで成功を収めることでしょう。
4.事例から学ぶ:成功したフランチャイズ店舗の戦略
本節では、フランチャイズで成功事例を3つご紹介します。
(1)事例1:パソコン教室の成功事例
フランチャイズのパソコン教室を開業したある男性は、開業後すぐに軌道に乗り、およそ3ヶ月で生徒数が40名以上に。毎月10名以上の入会があり、2号店も計画中だとのことです。
「休日もしっかり取れ、家族と過ごす時間も増えた。」と喜びの声をあげています。
成功要因は、パソコンに関する知識や経営に関するアドバイスなど、起業するのに必要なサポートを本部から得られたことが大きかったと考えられます。
この男性がパソコン教室を開いたのは、以下の3つの理由からだったとのこと。
- 初期費用があまりかからない
- トレンドに左右されにくい
- 利益率が高い
経営者視点で事業の選定を行い、本部から提供されるノウハウも徹底して実行したことが事業の成功へと繋がったのでしょう。
(2)事例2:ビルのメンテナンス業の成功事例
定年してからでもできる仕事がしたいという思いでフランチャイズのビルメンテナンス業務を始めた40代女性の事例。
自分のペースで働けるのがビルメンテナンス業務の魅力で、慣れてしまえば、月35万円の利益を午前中だけの稼働で稼げているのだそうです。
本部から顧客を紹介する制度もあり、営業する必要も特になく、わからないことがあれば、本部が丁寧に対応してくれるのも魅力の一つだといいます。
個人で開業すると、顧客を獲得することや、疑問を解決するのに多くの時間と労力を要しますが、そのハードルを下げてくれるのもフランチャイズならではの強み。
この女性はまさにフランチャイズのメリットを活用して成功した事例と言えるでしょう。
(3)事例3:ジム経営の成功事例
フランチャイズで起業するというと、規模が大きいものと思ってしまいがちですが、小さく開業して成功した事例もあります。ある男性は、ジムのフランチャイズに加盟し、マンションの一室でジムを開業。
本部のブランド力が強く、マンションの一室にも関わらず、開業開始後3ヶ月目で売上が3桁を超えたのだそうです。
この成功事例も、やはり本部のバックアップの影響が大きかったようです。本部からジム経営の成功事例を共有してもらっており、成功のイメージが掴みやすかったといいます。
以上3つの事例から、成功するためにはフランチャイズ本部を上手く活用できているかどうかにあるといえます。
5.結論:フランチャイズで成功するためのポイントとは
フランチャイズで成功したいなら、常に試行錯誤が必要です。
前述したように、情報収集・見積もりを怠らない、緻密に計画を練る、業界・業種の選定を見誤らないことを意識して、着実に成功への日々を積み重ねていきましょう。
まずは、とにかくリサーチをして、自分に合った業種を見つけましょう。業種で迷っている方は、初心者の方でも始めやすいコンビニエンスストア、ハウスクリーニング、介護・ケアサービス等で検討してみてはいかがでしょうか。
フランチャイズの成功率は約70%と言われていますが、ただ本部の言うことを聞いて開業すれば成功するというわけではありません。
経営者として必要な知識やノウハウを身に着け、掲げた目標に向かって試行錯誤することが大切です。
独立したいからといって、行き当たりばったりでサラリーマンを辞めて開業に踏み切るのはやめましょう。
失敗例を参考にしつつ、フランチャイズで失敗しないための方法を抑えてから、開業の準備を進めましょう。
これらのポイントを押さえ、独自の戦略を構築することでフランチャイズビジネスでも成功を収めることができます。
もしフランチャイズにご興味がありましたら、下記フォームよりお問い合わせ下さい!
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