【最新版】放課後等デイサービスで求められる資格とそのメリット

放課後デイサービス

1. はじめに

今回の記事では、放課後等デイサービスの職員として活躍するために必要な資格について詳しく解説します。

近年、児童の発達支援の場として注目されている放課後等デイサービス。放課後等デイサービスは、障がいのある就学児童が放課後や休日などに通う福祉サービスの施設で、生活力を向上させるためのプログラムを提供しています。

生活力の向上だけでなく、学校や周りの子どもに馴染めない児童の居場所作りや家族のサポートをすることも役割の一つです。

利用対象者は基本的に小学1年生から高校3年生までですが、必要性が認められれば例外として20歳まで通うこともできます。

しかし、その運営には適切な知識と技術が求められます。その背景には、発達障害や学習障害を持つ児童が利用することが多いという特性があります。そのため、児童の個々のニーズに応えるためには、職員自身が適切な資格を持つことが重要となっています。

放課後デイサービスの基本的な人員配置は以下の通りです。

管理者1人以上(兼務可)
児童発達支援管理責任者1人以上
児童指導員または保育士利用者10人以内で2人以上(これを超える場合は利用者5人に対して1人)
機能訓練担当職員機能訓練をおこなう場合のみ
看護職員医療的ケアをおこなう場合のみ

資格がなくても働くことは可能ですが、資格保有者を必ず配置することが義務付けられているため、資格を保有していると優遇されることがほとんどです。

本記事では、放課後等デイサービスで働くための必須資格、任意資格を明確にし、それぞれの資格取得の流れやメリットについても触れていきます。これから資格を取得しようと考えている方、すでに活動している職員のスキルアップを目指す方に向けた内容となっています。

2. 放課後等デイサービスとは?

放課後等デイサービスは、障害を持つ子どもたちが学校が終わった後や長期休暇中に、その子どもたちの自立を促すための支援を提供するサービスです。それぞれの子どものニーズに応じて、生活上の援助だけでなく、自己理解や社会性を育むための学習活動も行います。

具体的なサービス内容は様々で、例えば以下のようなものがあります。

サービス内容内容
生活援助食事や着替え、トイレなど日常生活の援助
学習活動宿題の指導や自己理解を深める学習
遊び・レクリエーション運動や工作などの楽しい活動

これらのサービスを提供することで、子どもたちは自己表現力をはじめとする多くのスキルを磨き、自分自身で生活する力を育てます。また、放課後等デイサービスは、親が仕事や家事で忙しいときに、安心して子どもたちを預けられる場ともなります。

(1)放課後等デイサービスの概要

放課後等デイサービスは、障がいを持つ子どものための児童福祉サービスのひとつです。原則6歳から18歳までの小・中・高校生を対象に、放課後や夏休みなどの長期休暇に子ども一人ひとりに合わせた発達支援をおこないます。

放課後等デイサービスは、2012年4月に児童福祉法の改正に伴い新設されました。以前は未就学児と就学児がともに通う「児童デイサービス」がありましたが、同法の改正により就学児のための「放課後等デイサービス」と未就学児のための「児童発達支援」に分かれた形です。

放課後等デイサービスと児童発達支援の違いは以下の通りです。

「放課後等デイサービスと児童発達支援の主な違いは対象年齢です。放課後等デイサービスは小中高校に通う就学児が対象ですが、児童発達支援は0〜6歳までの未就学児が対象となります。

児童発達支援では保育所や幼稚園のように生活の場を提供しながら、トイレや着替えなど日常生活動作の指導、集団生活での適応支援などをおこないます。」

具体的には、子どもたちが放課後の時間を有効に活用できるよう、遊びや学習、生活技能の指導を行います。また、専門的な視点から心のケアを行ったり、必要に応じて医療的なケアも提供します。それぞれの子どものニーズに合わせたプログラムが組まれ、一人ひとりが自己実現できる環境が整備されています。

このように、放課後等デイサービスは子どもたちにとって安全で有意義な時間を提供し、親や保護者にとっては頼りになる存在となるサービスなのです。しかし、その運営には専門的な知識とスキル、そして資格が必要となります。次の項目では、その詳細をご紹介します。

(2)利用者の特性

放課後等デイサービスの利用者は、幼稚園、大学を除く学校に通っている障がい児です。対象の障がいは身体障害、知的障害、精神障害、発達障害で、障害者手帳の有無は問いません。児童相談所や保健センター、医師などにより療育の必要性が認められた子どもも対象となります。主に発達障害を持つ児童を中心としています。彼らは注意力や集中力の問題、社交性に課題を持つことが多く、通常の学校生活を送る上でさまざまな困難を経験します。

具体的な利用者の特性を以下の表にまとめます。

特性説明
1. 発達障害ADHDや自閉症スペクトラム等、学習や社会生活に影響を及ぼす障害を持つ
2. 学習困難集中力や理解力に課題があり、学校の授業についていくのが難しい
3. 社交性の課題人間関係の構築やコミュニケーションが苦手

これらの特性を持つ児童が放課後等デイサービスを利用し、個々の課題に合わせたサポートを受けることで、学校生活や将来の生活をより豊かにすることが期待されます。

(3)サービス内容の具体例

放課後等デイサービスでは、学校の放課後や休日に子どもたちが安全に過ごせる空間を提供しています。

まずは大まかな一日の流れをご紹介します。

平日のスケジュールの例

【放課後】子どもの送迎
【14時】施設到着
【15時〜17時】おやつ・個人活動・個人療養
【17時】終わりの会
【17時〜】子どもの送迎

休日のスケジュールの例

【10時】子どもの送迎
【10時〜12時】個別活動・集団活動・集団療養
【12時】お昼ご飯
【13時〜15時】個別活動・集団活動・集団療養
【15時】おやつ
【15時〜16時】個別活動・個人活動・個人療養
【16時】子どもの送迎

上記のスケジュールの例からもわかるように、放課後等デイサービスの1日の流れは子どもの送迎から始まります。


施設に到着してからは、療育プログラムに応じた個人活動や集団活動がメインです。療育プログラムでは、子どもに合った様々なプログラムを実施していきます。

放課後等デイサービスは、障がいのある子どもを預かるだけではありません。利用する事業所によって若干の差はありますが、厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」によると大きく分けて下記の4つの活動を行っていきます。

自立支援と
日常生活の充実のための活動
子どもが将来的に自立した生活を送るための手助け。些細な成功であっても肯定することにより、子どもの自己肯定感の高まりも期待できる。放課後等デイサービスでの活動内容を学校と共有・連携し自立への1歩として繋げる。

創作活動
豊かな発想力を育むためには創作活動も欠かせません。放課後等デイサービスの創作活動では、美術や音楽などの形で子どもの自己表現の向上を図っていきます。また、自然と触れ合う機会を多く設けることにより、季節の変化に興味を持てるようにしたり感性が豊かになるよう努めていきます。

地域交流の
機会の提供
社会生活に制限のある障がい児の生活の幅を広げるため。具体的には、他の福祉施設との連携・体験イベント・交流会など。利用する事業所によって地域交流の幅は異なる。
余暇の提供学習活動ばかりではなく、子どもがホッと心から落ち着ける余暇の時間を提供することも活動の1つ。子どもが疲れない空間やリラックスできる環境作りをして安らげる余暇の時間を設ける。子ども自身が自分の力でリラックスできるようにすることも目的。

これらのサービスは子どもたちの成長を支援し、親御さんが安心して仕事などに専念できる環境を整える役割を果たしています。

3. 放課後等デイサービスで必要な資格とは?

前述したように放課後等デイサービスは無資格でも働けますが、資格保有者を必ず配置することが義務付けられているため、資格を保有していると優遇されることがほとんどです。

放課後等デイサービスで優遇される6つの資格について紹介します。

  • ・児童発達支援管理責任者
  • ・児童指導員
  • ・保育士
  • ・小・中・高の教員免許
  • ・幼稚園教諭
  • ・普通運転免許

4. 各資格について

・児童発達支援管理責任者

施設の全体的な管理を管理者と共に行いながら、子どもに対する療育を主導するのが児童発達支援管理責任者の役割です。「児発管」とも呼ばれています。

児童発達支援管理責任者の資格を取得するためには、下記のいずれかに当てはまった上で、老人福祉施設や医療機関以外の障がい者福祉の分野において3年以上の実務経験が必要です。

【児童発達支援管理責任者の必要な実務経験】

  • 相談支援業務5年以上
  • 直接支援業務10年以上
  • 社会福祉主事や児童指導員、保育士などの該当資格を保有しており、さらに直接支援業務5年以上
  • 社会福祉主事や児童指導員、保育士などの該当資格を保有して5年以上従事しており、支援業務3年以上

実務経験を満たしたあとは、都道府県で実施している研修を修了しなければいけません。また、都道府県ごとに独自の基準を設けているケースもあるため、事前にしっかりとチェックしておくようにしてください。

児童指導員

児童指導員は、児童福祉施設において日常生活を向上させるための指導や個別の支援などを行います。

そもそも「児童指導員」という名称の資格はありません。児童指導員と名乗れるようになるためには、下記の要件のいずれかを満たす必要があります。

【児童指導員になるための要件】

  • 4年生大学で指定科目の修了
  • 厚労省が指定する養成施設を卒業する
  • 高校卒業後に2年以上児童福祉事業に従事
  • 社会保育士などの資格を保有している

さらに、児童指導員は児発管や他の職員と連携しながら仕事をすすめていくため、協調性や積極性なども必要なスキルになります。

・保育士

1、はじめにのトピックスで紹介した放課後等デイサービスの人員配置から分かるように、管理者と児童発達支援管理者以外のスタッフはほとんどが児童指導員と保育士です。そのため、保育士資格も放課後等デイサービスでは重宝されます。

保育士は保育に携わるための国家資格となり、厚生労働大臣が指定する学校や施設で必要科目を修了後に卒業し、試験に合格することで取得となります。

・小・中・高の教員免許

小学校・中学校・高等学校のそれぞれの教員免許を保守している方は、児童指導員任用の資格要件を満たしていると判断されます。そのため、保育士と同様に重宝されやすいです。

教員免許を保有しているものの休眠資格となっている場合、実務要件なしで児童指導員として放課後等デイサービスで働くことが可能となっています。

・幼稚園教諭

上記でお伝えした教員免許同様に、幼稚園教諭を保有している場合も児童指導員任用資格が満たされていると判断されます。幼稚園教諭は、文部科学省が認定している短大や大学にて所定単位を履修することで取得が可能です。

過去に幼稚園で働いており、ライフステージとともに休眠資格となっている方も多くいるため、そういった場合は放課後等デイサービスで資格を活かすことができます。

・普通運転免許

放課後等デイサービスでは、施設によって送迎サービスを導入しています。そのため、普通運転免許を保有していることで優遇されるケースは少なくありません。

放課後等デイサービスで送迎ドライバーとなる場合、安全運転や時間厳守などの高い技術力はもちろん、子どもと積極的にコミュニケーションをとって信頼関係を築くことも大切なスキルとなります。

5.資格取得によるメリット

放課後等デイサービスの資格を取得することには、数々のメリットがあります。

(1)サービス提供のレベルアップ

資格を持つことで、専門的な知識や技術を身に付けることができ、サービスの質が向上します。具体的な指導方法やケアの技術を学べば、子どもたちの成長をより効果的にサポートすることが可能となります。

一人ひとり違う特性を持つ子供たちが集まる放課後デイサービスでは、より専門的な知識を求められることが多々あります。個々のニーズに応えるためにも、資格の取得は必要といえるでしょう。

(2)信頼性の向上

専門的な資格を持つことは、保護者や関連機関からの信頼を得るためにも重要となります。資格があることでその分野に精通していると認識され、サービスの信頼性を高めることができます。

知識があることを証明する資格を保有していることは、保護者の方の安心や信頼に繋がります。保護者からの信頼を得ることで、継続して利用してもらえる可能性も高まり施設の存続にも優位に働くという好循環ができます。

専門的な知識を持ち、それぞれ異なる障害を持っている子供に対して的確な支援を行えることは、保護者との関係構築にもつながるでしょう。個々のニーズに対応し、保護者や子供に対して誠実で継続的なサポートを行なっていくことが大切です。専門家として、保護者とのコミュニケーションを積極的に行うことは、保護者が信頼や安心を抱くきっかけづくりとなります。

(3)キャリアアップの機会

資格を取得すれば、キャリアの選択肢が広がります。特に、管理職などリーダーシップを担うポジションに進むためには、資格が必要とされるケースが多いです。児童指導員を取得していると、現場の責任者として主任やリーダーとなったり、児童発達支援管理責任者を目指したり、開業するといったことも夢ではありません。

また、就職活動や転職活動にも優位に働くでしょう。一度職場を離れても好待遇で再就職できる可能性があるため資格を取っておいて間違いないと思います。

事業所によっては、資格取得支援制度を導入していて、受験料の支援や試験の交通費の支給

、試験勉強のための教材費の支給、受験日や勉強のためのシフトの調整などを行っているところもあります。キャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてみてください。

以上の3点が、放課後等デイサービスの資格取得のメリットとして挙げられます。

6.まとめ

本記事では、放課後等デイサービスで求められる資格とそのメリットについて解説しました。

障害児支援に関する資格は、内容や目的に応じて異なる種類があります。子供が自立し、集団生活にも適用できるようにサポートしていくことが主な仕事となります。資格を取得することで、障害に対する知識を学べるだけでなく、資格を活かせる場を広げることもできるでしょう。障害児支援に携われる施設を紹介しましたが、必要な資格や仕事内容はそれぞれの施設によって異なるため、事前に確認しておくと良いですね。専門知識を用いて、子供の特性や発達にあった支援を提供しましょう。

資格といっても児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士、小・中・高の教員免許、幼稚園教諭、普通運転免許など様々ありますが、自分に合った資格を見つけて無理のない範囲でスタートしましょう。

これらの資格は取得に労力が必要ですが、その結果として得られるメリットは大きいと言えるでしょう。今後も最新の情報を提供していく所存ですので、ご参考になさってください。

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